高機能特殊増粘剤「ビスコトップ 200LS-2」

すぐれた増粘性を有し、さまざまな用途に使えます。

日本は、周囲を海に囲まれ、美しい山や海などの景観のすぐれた史跡・名所が数多くあります。このような史跡・名所でなくても、全国各地で高層ビルや高速道路の建設、トンネル工事、海岸線における護岸工事、港湾の建設などさまざまな工事が行われています。

河川や海岸などの水辺で行われる工事では、環境や水質を汚さないように、水質汚濁を防止するための対策も必要となります。長大な橋や海峡に建設されるつり橋などの橋脚工事では、河川や海の中に橋脚を構築するために、粘性が高く水に分散しない水中コンクリートが使用されます。また、地下水脈の付近で行う工事では、地下水の水質汚濁を防ぐ配慮も必要となります。このような、水に関わる環境では、注入材やコンクリートなどの無機材料に増粘剤を添加して、水不分離性を付与します。一般には、水に溶けるセルロース系高分子などが使われますが、新しく開発された高機能特殊増粘剤「ビスコトップ 200LS-2」を使用しますと、従来品にないすぐれた高粘性の注入材やコンクリートが得られます。高機能特殊増粘剤「ビスコトップ 200LS-2」について、その特長や応用例についてお話しします。

「ビスコトップ 200LS-2」の特長

写真1 水中不分離性
図1 「ビスコトップ 200LS-2」の増粘効果

「ビスコトップ 200LS-2」は従来の2液タイプの「ビスコトップ100」シリーズを1液化し、現場での取り扱いやすさを向上させた高機能特殊増粘剤です。2種類の界面活性剤を含有し、界面活性剤同士の分子間相互作用により、ひも状ミセルと言われる高次構造体を形成します。このひも状ミセルは、セメント粒子などに吸着することもなく、水の粘弾性を制御できるため、セメントスラリーやモルタル、コンクリートのレオロジー特性(流動性、分離抵抗性、粘弾性など)を自由に制御できる新しいタイプのレオロジー改質剤です。

「ビスコトップ 200LS-2」の特長を以下にあげます。

  1. 高い材料分離抵抗性を付与できる。
    静置下や振動下、高圧下、高W/C配合および水中などの条件下で高い材料分離抵抗性を有する無機材料の増粘ができる。
  2. 早硬性にすぐれる。
    セルロース系増粘剤などの高分子系増粘剤と比較して、硬化遅延が小さく強度発現性にすぐれる。
  3. ポンプ圧送性にすぐれる。
    ひも状ミセルが作る高次構造体は小さな応力で流動するため、「ビスコトップ 200LS-2」を配合した無機材料は粘性が高いにもかかわらず、ポンプ圧送が可能である。
  4. 幅広いpH域の練混ぜ水が使用可能。
    酸性からアルカリ性までの幅広いpH域の水や海水を練混ぜ水に使用しても、増粘効果に影響がない。
  5. フレッシュ性状をコントロール可能。
    配合量を調節することで、流動性を持つ粘稠なスラリーから弾性的なゴムのようなスラリーまで製造可能である。

なお、「ビスコトップ 200LS-2」は、2種類の界面活性剤により形成される高次構造体であるため、高分子増粘剤とは異なるレオロジー物性を示し、しかも、せん断力による増粘性能の劣化(増粘剤分子の切断)を受けないなどの特長も有しています。また、保水性とレベリング性にすぐれており、セメントやモルタル(セメントと砂、水の混合物)のひび割れを防止し、高い流動性を示すことにより充填性にもすぐれています。

「ビスコトップ 200LS-2」の応用例

建築物などを建設する際に、基礎としてコンクリート杭を設置します。コンクリート杭の設置は、掘削機で杭の長さの深い穴を掘り、この穴にコンクリート杭を挿入して行われています。その際、コンクリート杭の周囲に空間が生じるためセメントスラリーを注入することで、コンクリート杭を固定します。

ここで、工事現場が砂地や礫の堆積層などの軟弱地盤であったりしますと、セメントスラリーを注入しても穴の周囲に浸透(逸水)してしまいます。地下水脈の近くや浜辺などであれば、水質汚濁が発生する恐れもあります。このような状況の工事で、「ビスコトップ 200LS-2」により増粘したセメントスラリーを使用しますと、逸水を起こすことなく施工できます。また、掘削孔の壁が崩れてせっかく掘った穴が埋まってしまうこともありますが、「ビスコトップ 200LS-2」を使用すれば掘削孔の崩壊防止にも著しい効果を発揮します。

大規模なトンネル工事はシールド工法で施工されますが、セグメントと岩盤との隙間にコンクリートを打設します。これに使うコンクリートは、トンネルの入り口からトンネルの掘削工事が行われている先端部まで、ポンプなどで送られます。使われるコンクリートの性能として、充填性、流動性、圧送性および早硬性にすぐれていることが求められます。「ビスコトップ 200LS-2」を添加したコンクリートでは、これら複数の要求性能を同時に満足することができます。

土木・建築工事では、建物の床にコンクリートを打設しますが、床下地材としてモルタルなどが使われます。一般に、モルタルはコンクリート表面に薄く拡げられます。乾燥が早いので水分が不足しないよう、表面をシートで覆うなどの養生が必要となります。「ビスコトップ 200LS-2」をセルフレベリング材として床下地材に添加しますと、セルフレベリング性とともに流動性の高いモルタルが得られます。セルフレベリング性が高いということは、施工に際してモルタルを拡げて塗布する作業の労力を軽減できることになります。しかも、「ビスコトップ 200LS-2」の添加により保水性が高くなりますので、モルタルの乾燥を抑制して、初期乾燥ひび割れを防止します。これは、コンクリートが硬化するのに必要な水分を保持することで、乾燥による水分不足から発生するひび割れを防止できるからです。

このほかにも、「ビスコトップ 200LS-2」で増粘したコンクリートは、粘性が高いにもかかわらず、すぐれた流動性や充填性、レベリング性を併せて持つ、今までにないコンクリート用増粘剤です。今後も、すぐれた機能を有する製品を開発してまいりますので、ぜひ花王の建築・土木用薬剤をよろしくお願いします。

[表1 「ビスコトップ」製品一覧]
製品名 備 考
ビスコトップ 100A 2液タイプ
ビスコトップ 100B
ビスコトップ 200LS-2 1液タイプ
  • ※この記事は、花王ケミカルだより59号(2007年11月)から抜粋したものです。

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