豆腐用品質改良・凝固剤製剤「マグネスファイン」

柔らかくても弾力性に富むおいしいにがり豆腐が製造できます。

豆腐は、英語でも“TOFU”。今では、海外でもヘルシーな食べ物として食べられています。大豆を原料とし、良質な植物性タンパク質に富む、日本の代表的なヘルシー食品の一つです。豆腐は奈良時代に中国から仏教とともに伝えられ、主にお坊さんたちが食べていたとされる食べ物です。江戸時代になりますと、一般庶民も食べるまでに広く普及しました。なお、豆腐の作り方の基本は、ほぼ江戸時代にできあがっていました。江戸時代に食べられていた豆腐は、現在のもめん豆腐に近いものでした。

豆腐を作るには、原料の大豆を水に浸漬して吸水させた後、摩砕機によってすりつぶします。得られた液(生ご)を加熱・煮沸してから、濾過することでおからと豆乳に分離します。まだ温かい豆乳に、にがり(塩化マグネシウム)などの凝固剤を加えて固め、水にさらして整形・包装すれば、豆腐のできあがりです。絹ごし豆腐やもめん豆腐など、豆腐の種類により製造工程の詳細は異なりますが、豆腐はタンパク質を凝固(ゲル化)させたものといえます。現在では、豆腐の製造も機械化が進み、連続的な生産が可能で、やわらかで弾力性に富んだ絹ごし豆腐の生産が主流となっています。

豆腐の凝固剤には、古くから使われてきましたにがりと、グルコノラクトンを主成分とする複合製剤、および硫酸カルシウムなどがあります。これらの凝固剤の中で、にがりは豆乳中のタンパク質をすばやく凝固させるため、にがりの投入や撹拌作業などに熟練の技が要求されます。にがりと大豆タンパク質との接触がすばやくしかも均一に行われないと、凝固が不均一になり、ひどいととても豆腐とはいえないものになってしまいます。硫酸カルシウムやグルコノラクトンなどでは、硫酸カルシウムは水に溶けにくく、グルコノラクトンは水と反応してできるグルコン酸が働いて凝固するため、ゆっくりと大豆タンパク質を凝固させます。豆乳に含まれる大豆タンパク質がゆっくり凝固することで、弾力のある豆腐ができあがります。

「マグネスファイン」の特長

豆腐用品質改良凝固剤製剤「マグネスファイン」は、にがりを油脂に分散させた凝固剤製剤です。大豆タンパク質の凝固が速いにがり液を油脂中に分散させることで、にがり液の主成分(塩化マグネシウム)を徐々に放出するように制御できます。このため、豆乳はゆっくりと均一に凝固し、緻密なゲルを形成して、保水性と弾力性にすぐれたおいしい豆腐ができあがります(図1、2)。

図1 豆腐の凝固パターン
図2 豆腐の保水性

「マグネスファイン」を使用して製造された豆腐や揚げには、つぎのようなすぐれた特長があります。

食品名 特長
絹ごし豆腐 キメが細く、弾力性に富んだプリンのような豆腐でカットロスが低減します。
もめん豆腐 今までにない、ソフトなもめん豆腐で、保水性よく、大幅に歩留まりが改善します。
絹生揚・厚揚 保水性よく、ドリップが少なくなりますので商品価値が高くなります。
充填豆腐 およそ80℃の豆乳に凝固剤を混ぜて充填します。

「マグネスファイン」を使用しますと、大豆タンパク質の凝固が速いにがりであっても緻密で保水性のよい、味抜けの少ない、弾力性に富んだ特長ある豆腐ができあがることになります。

「マグネスファイン」で熟練の技を実現

図3 乳化粒径によるにがり放出速度の差

にがりを油脂に分散させた「マグネスファイン」の使用方法は、従来の凝固剤のように豆乳に加えて混合・撹拌するのでは、よい豆腐はできません。「マグネスファイン」は、にがり液を分散させた油脂ですので、そのまま豆乳に加えても混じり合いません。そのために「マグネスファイン」を分散機で微粒子状にして、豆乳中に分散させます。このようにして、にがり成分がゆっくりと豆乳に溶け出して、豆腐ができあがります。豆乳中におけるにがり成分の濃度は、「マグネスファイン」の粒径の大小により決まります(図3)。粒径が大きいほどゆっくりと放出され、豆腐の凝固は遅くなります。なお、分散機の回転数を高くすれば、粒径は小さくなりますので、分散機の回転数を変えることで豆乳の凝固速度をコントロールでき、弾力のあるおいしい豆腐ができあがります。つまり、にがり豆腐の製造で最も熟練の技と勘が必要とされた凝固操作が、油脂ににがりを分散させた「マグネスファイン」と分散機を使用することで、分散機の回転数によりコントロールが可能になります。しかも、連続運転も可能になりますので、大量生産にもっとも適した凝固剤です。

花王では、「マグネスファイン」をお使いいただく上での豊富な技術的知見も蓄積しています。また、このほかにも豆腐用消泡剤「クレトン」シリーズなどを取り扱っておりますので、何なりとご相談をお寄せいただきたいと思います。

[表1 「マグネスファイン」製品一覧]
製品名 マグネスファイン
TG 420 330
内容組成
(%)
植物性油脂 36.915 28.42
塩化マグネシウム 36.600 42.00 33.000
24.400 28.00 22.000
グリセリン脂肪酸エステル 2.000 1.50 44.915
ミックストコフェロール 0.060 0.06 0.060
ビタミンCパルミテート 0.025 0.02 0.025
標準添加量
(%、対豆乳)
0.82 0.71 0.91
豆腐への表示 凝固剤または、塩化マグネシウム(にがり)
  • 凝固剤または塩化マグネシウム(にがり)
  • 乳化剤またはグリセリンエステル
使用上の注意 ミクロ分散乳化システムでご使用ください。開封後は、風味劣化のおそれがありますので、すみやかにご使用ください。
[表2 豆腐用凝固剤の種類と豆腐の特長]
凝固剤の種類 豆腐の特長
にがり(従来法) 充分な硬さがでにくく、もろい豆腐となります。
複合製剤 添加量を増やすと硬さは充分となりますが、にがり豆腐の持つもろさは改善できます。
マグネスファイン 均一に凝固することで緻密なゲルとなり、保水性と弾力性にすぐれ、充分な硬さの豆腐ができます。また、添加量と運転条件を変えることで、柔らかくても弾力性に富む豆腐ができます。
  • ※この記事は、花王ケミカルだより58号(2006年10月)から抜粋したものです。