葉や害虫に農薬を均一に付着させ、
農薬効果を安定化させるために添加する補助剤です。
植物体や虫体表面はその身を守るために水を弾くワックス層や毛じで覆われているため、農薬を散布してもしっかりと付着せず、垂れ落ちてしまうことがあります。
⽔をはじく⾍
⽔をはじく葉の表⾯
実際に散布した農薬の多くは、垂れ落ちてしまうなどの理由で、農業の本来の効果を発揮できていないとも言われています。
この問題を解決するため、農薬をより付着しやすくし、農薬の効果安定化を目的として散布時に添加される補助剤のことを展着剤と言います。
古くはゼラチン、寒天、でんぷんまたは石鹸などが展着剤として使用されてきました。
展着剤を入れることで様々な観点から農薬効果の安定化が図れます。
均一に作物を濡らす
濡れにくい作物でも均一に農薬を濡れ広がらせることにより効率的に農薬の効果を安定化させます。
農薬を効率的に病原菌に
届かせる
農薬の病原菌への取り込みを促進し、殺菌剤の効果を安定化させます。
農薬を効率的に害虫に届かせる
害虫にもしっかりと農薬を付着させ、殺虫剤の効果を安定化させます。
使い方は簡単。農薬を希釈する際に一緒に混ぜて、散布液を作るだけ。
混ぜる順番にだけ注意してご使用ください。
展着剤を先に入れることで、農薬製剤が水中で分散しやすくなります。(ただし、一部の展着剤には最初に入れることを推奨されていないものもありますので、使用前にラベルの注意事項をご確認ください。)
展着剤が農薬と作物の親和性を上げて、作物に均一に農薬が付着することを助けるからです。
作物の葉っぱや虫の表面が水を弾くのは、表面に水と仲の悪いワックス層(疎水性)があるからです。展着剤には、水とも油とも仲がいい界面活性剤が含まれており、水とワックス層の仲を仲裁してくれる役割があります。
このように、展着剤を入れることで農薬と作物の親和性が上がり、濡れにくい作物でも均一に農薬を付着させることが可能になります。その結果、農薬が本来の効果を発揮できるようになり、農薬効果が安定化します。
実は髪の毛と葉っぱの表面はそっくりな構造!
髪の毛の表面をコントロールする技術が、葉っぱの表面にも応用できることに着目したからです。
日用品メーカーである花王がなぜ展着剤?と不思議に思われていた方も多いと思います。実は髪の毛と葉っぱには共通点がたくさんあり、花王が長年培ってきた髪の毛に対する研究が農業の分野にも応用できるため革新的な展着剤を開発することができます。
具体的には、髪の毛と葉っぱの両方ともが紫外線や細菌から内部の細胞を守るために、キューティクル(=クチクラ層)という似た構造を持っています。
花王は、自社が持つ髪の毛の表面をコントロールする技術を、植物表面をコントロールする展着剤製品の開発に活かしています。
花王の展着剤の技術開発は半世紀以上前からスタートしており、農薬を均一に濡れ広がらせるだけでなく、浸透など様々な革新的な機能を持った展着剤を開発し、"機能性展着剤(アジュバント)"というカテゴリーを日本で初めて作り上げました。
⼀般展着剤
病害虫や植物の表面への付着性、拡展性などをよくする目的で農薬散布液に加える補助剤を指します。
機能性展着剤(アジュバント)
一般には農薬の有効成分が本来持っている作用を引き出す目的で用いられる補助剤を指します。
有効成分の浸透移行性促進、溶出抑制、植物に対する薬害軽減、濡れ性の改良、薬剤飛散の抑制、混用性の改善などを目的に用いられます。
髪への浸透技術など、⻑年培ってきた技術を⽣かして、
濡れだけではなく、農薬を効率的に浸透させることも可能に!
農薬効果を最⼤限引き出す展着剤
機能性展着剤(アジュバント)
花王は展着剤のリーディングカンパニーとして常に新たな技術を開発し、国内シェアNo.1を維持しています。
花王は、これからも、農業の未来のために生産者のみなさまをサポートできるよう、研究を続けてまいります。
展着剤についてのサンプルのご要望やご相談は、下記のフォームからお願いします。