Global Chemicals Japan

Key Technology

キーテクノロジー

テクノロジーで、多様なニーズにお応えし、 社会の持続的発展に貢献

花王は、油脂から界面活性剤、ポリマーなどにかかわる材料設計、反応制御、精密加工の基礎から応用までの総合的な研究開発活動を通して構築してきたキーテクノロジーを融合した独自の技術で、幅広い産業のさまざまな分野における多様なニーズにお応えします。

花王のキーテクノロジー

乳化

豆腐の凝固に“にがり”を使うと大豆の甘味を引き出すことができますが、凝固反応が速く、品質を安定させるには職人の技術が必要です。豆乳中に分散されたW/O(Water in Oil)型の乳化にがりは、豆乳の水分により徐々に解乳化を起こし、内水相に含まれる“にがり”をゆっくりと放出します。乳化にがりは凝固速度をコントロールでき、高度な技術を用いなくても、きめ細かく緻密なゲル組織の、弾力と硬度あるにがり豆腐の製造が可能になります。また、製造時の歩留の改善、省力化、省人化にも貢献します。
機能性食品分野では、この他にも界面活性剤を分子レベルで分散させる液晶化技術を用いて、製菓製パンの製造に同様にの貢献をする製品を開発しています。

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分散

分散剤は、電気的反発力や立体的反発力による分散力で、液体中に凝集している粒子を、独立した状態にする薬剤です。
例えば、セメントは私たちの生活空間を形成するコンクリートを硬く、丈夫にするために不可欠な粒子ですが、分散剤を使用しないとセメント粒子同士が凝集し、思い通りの形に加工しにくくなります。花王では、セメント粒子の凝集を制御する“セメント分散剤”を開発することで、コンクリート製造時の扱いやすさを飛躍的に高めました。
このほかにも、粒子界面を科学することで、機能材料や電子材料、情報材料分野など、幅広い分野・用途に向けた分散剤を開発し、皆様の暮らしに貢献しています。

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洗浄

花王では、洗浄を「洗う」ことで、様々な価値をお客様にお届けできる重要な製造プロセスととらえ、フロンや塩素系溶剤の代替洗浄剤をはじめとし、豊富な界面科学の知見を利用した、高機能な水系洗浄剤を開発しています。
極めて精密な製造技術を要する電子材料や、金属の表面改質を必要とする材料などに対し、ナノレベルで界面現象をコントロールし、環境にも配慮した設計技術を応用した、洗浄剤を開発しています。
また、併設している精密洗浄センターにて、お客様の求める品質を実現するためのプロセスを含めたトータルソリューションのご提案も実施しています。

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吸着・凝集

森林資源のリサイクルとして、新聞や雑誌等の古紙をパルプ化した後に、印刷インキを除去し、再生パルプとして紙原料に使用する方法があります。このインキ除去処理を「脱墨」と呼び、同工程で使用されるのが「脱墨剤」です。脱墨をフローテーション法によって行う場合、古紙中のパルプ繊維からインキを剥離するとともに、剥離したインキの微小な粒子を適度に凝集させ、ついでインキを気泡に吸着させて系外に排出することが必要です。
花王の界面活性剤技術を活用した脱墨剤は、パルプ繊維とインキ、剥離したインキ微小粒子同士、インキと気泡の、それぞれの間の相互作用を最適にコントロールすることで、インキを効率的に除去し、白色度の高い高品質な再生パルプを実現しています。

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乳化重合

界面活性剤からなる乳化剤によって、モノマーを乳化・可溶化させた状態で重合させ、ポリマーエマルションを得る反応が乳化重合です。乳化剤には、モノマーの乳化・可溶化やエマルション中でのポリマー粒子の分散・安定化など、多くの機能が要求されます。
花王では、上記基本的な機能に加え、広範な用途に使用できるもの、重合条件の幅が広いもの、機械的・化学的安定性の良好なエマルションが得られるもの、耐水性や泡制御に優れたもの、さらには特殊な反応型のものなど、様々な特長のある乳化剤を開発しています。

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帯電防止

プラスチック製品の帯電防止では、成型加工の際に樹脂の中へ練り込んでおいた帯電防止剤をいかに表面へにじみださせて、その薄い皮膜を形成させるかがポイントになります。
花王では帯電防止剤と樹脂との相溶性に関する詳細な研究を通じて、成型後、1時間程度で表面ににじみだして効果を発揮する即効型の帯電防止剤を開発しました。これにより、成型から納品までのエージング時間が不要になるなど、大幅なコストダウンが可能になりました。このほか低添加量で効果を発現し、食品用途にも使用可能な二軸延伸フィルム用帯電防止剤や、効果の持続性に優れた帯電防止剤なども開発しています。

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研磨

パソコンやビデオに使われているハードディスク(HDD)の大容量化には、蒸着による磁性層形成前の、磁気ディスク基板表面の高精度な平滑化がポイントとなります。
花王は、独自に設計したナノサイズの研磨砥粒をベースに、ディスク表面を化学的に処理する技術を組み合わせるというユニークな手法で、世界最高レベルの平滑性と高生産性を両立したHD基板用研磨剤を開発しました。 花王はHDDの大記憶容量化・高品質化を支える技術開発により、高度情報化社会に貢献しています。

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ポリマー機能設計

プリンターや複合機には、粉体インクであるトナーが使用されています。トナーは、トナーバインダーと呼ばれる樹脂に、顔料を分散させた微粒子であり、熱を加えることで、トナーバインダーが融けて紙に接着されます。プリンターが消費する電力の半分以上が、トナーを融かす熱エネルギーに用いられるため、環境負荷低減には、より低温で定着可能なトナーバインダーの開発が重要です。
花王では結晶構造や粘弾性の制御により、低温定着を実現するポリエステルバインダーを世界に先駆けて開発して以来、40年以上にわたって環境負荷を低減するトナーバインダーの開発を進めてまいりました。近年は、データ解析手法も取り入れたバインダーの設計を通じて、より環境にやさしい印刷を目指しています。

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香り

花王は、最新の天然香料研究の成果を活かし、また最新の合成技術も合わせて、新しい香りをつくりだす上でキーとなるさまざまなスペシャリティ香料を開発してきました。
そして、これらの素材をもとに、日本とスペインの研究所が一体となって花王独自の調合香料を開発し、世界中にお届けしています。感性と機能をもった独創的な香りの開発、それが花王の信条です。

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顔料ナノ分散

産業用インクジェットプリンタでは、直径10数ミクロンの微細なノズルから1秒間に最大6万滴のインクを吐出して画像を作ります。近年では環境調和の観点から、耐水性と耐久性に優れた水性顔料インクに大きな期待が寄せられています。この顔料が水中で凝集し固まってしまい、微細な吐出ノズルを詰まらせないように、高分子で顔料表面を覆い(カプセル化)、水中で安定にナノ分散させる技術が必要です。
花王は独自設計した高分子を顔料表面に吸着させ、水中にナノ分散させることで、吐出の安定性と印刷時の発色に優れた高耐久インクジェット用水性顔料インクを開発しました。水性では難しいとされる軟包装用フィルムでも、水性インクジェット印刷を実現し、包装容器の環境負荷低減に貢献しています。

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微細構造制御

セルロースナノファイバー(CNF、幅:3nm、長さ:数百nm~数μm)は植物由来の究極のサステナブル素材であり、そのポテンシャルを引き出して最大限活用する技術や用途が待ち望まれています。
花王では、計算化学により選定した2種類の修飾基をCNF表面にグラフトさせるというユニークな手法により、本来親水的なCNFを樹脂等の疎水性媒体中へ均一にナノ分散する技術を開発しました。この新規CNFは、媒体中でのナノネットワーク形成や配向制御などの微細構造制御により、種々の優れた特性を発現することが明らかになっています。花王は本技術を用いて、幅広い材料の軽量化・小型化・高性能化などの機能価値を創出し、循環型社会の実現に貢献すべく、社内外と連携して精力的に検討を行っています。

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濡れ・浸透

2050年には世界の人口は90億人を突破し、人類の食糧確保が切実な問題となることから、これに対応した環境保全型の食糧生産システムの構築が求められています。
花王は、成分の葉面からの吸収・体内移動・根からの吸収などの本質研究成果と界面科学の様々な知見をもとに、食糧の安定生産・増産に貢献する各種製品を開発しています。
その中のひとつであるアジュバント製品は、環境にやさしい基剤を選択しながら、植物界面での農薬の濡れ性および浸透性を向上させることで、農薬効果の向上や使用農薬量の低減を可能にします。さらに、今後一層進展してくスマート農業に対応するドローン散布専用アジュバントの開発にも取り組み、地球環境を守りながら食糧増産に貢献していきます。

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生活のさまざまな場面で目にする泡。身体や髪、食器を洗う際の豊かな泡は、洗浄製品に心地よさや満足感といった情緒価値を提供してきました。花王はこうした泡を長く研究し、お客様に満足していただける泡の設計技術を磨いてきました。近年では、泡の立て方を変えるだけで皮膚への影響が低減する、洗浄力が向上するなど、今まで知られていなかったサステナブルな泡の機能を発見しています。これらの技術は学術論文として世界に発信され、日々進化する洗浄製品にすでに導入されています。花王の世界をリードする泡技術は、洗浄製品に豊かな泡立ちを付与する界面活性剤の開発、工業用洗浄技術、土木分野での泡利用技術にも応用されています。

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反応制御技術

花王ではアルコールやアミンといった界面活性剤の原料を植物油脂から生産しており、植物油脂から化学変換する際の触媒を独自に開発しています。
反応を効率的かつ選択的に進めるためにキーとなる活性成分の粒子径や担持状態、流路となる細孔を制御した触媒を使いやすく長期間使える形状へ成形して化学プラントで使用しています。その触媒に合うプロセスと共に、開発触媒を最大限活用することで高効率かつ低エネルギーでキーケミカルを高品質で生産し、ESGよきモノづくりを実践しています。

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花王の研究開発

花王は社会の持続的発展に貢献し、世界中の人々の豊かな生活の実践のために日々研究開発に取り組んでいます。花王グループの研究開発部門には、消費者・顧客のニーズを背景に製品を設計し技術を実用化する「製品開発研究」と、さまざまな領域の先端の科学技術を深く掘り下げ、物質の現象の仕組みを解き明かす「基盤技術研究」の2つの機能があります。それぞれが共同で研究を推進するマトリックス運営により革新的な製品を生み出していますが、ケミカル事業においては、主に製品開発研究を担うテクノケミカル研究所と、基盤技術研究を進めるマテリアルサイエンス研究所との協業により、それぞれの専門領域の「知」がダイナミックかつ柔軟に交わり、研究開発のスピードアップが図られています。

研究開発拠点

テクノケミカル研究所


テクノケミカル研究所は、産業用ケミカル製品の開発拠点としてグローバルに研究開発活動を行っています。1991年に従来の研究組織を改組して化学品研究所が設立され、その後一部の組織改編を経て2013年にテクノケミカル研究所に改名されました。国内開発拠点としては和歌山を本拠地とし、豊橋に分室を設けています。また、ケミカル事業は花王グループの中で最もグローバル化が進んでいますが、アジア地域、欧米地域それぞれ4カ国の研究拠点を統括する役割も担っています。

産業用ケミカル製品開発の基盤となる技術は界面科学ですが、なかでも「界面物性制御技術」、「ナノ表面改質技術」、「機能性分子設計技術」、そしてそれらの複合化技術を「コア技術」と位置づけています。これらの技術を深めるとともに、顧客の立場に立って顧客の成功をサポートする製品やソリューションを提供しています。世界で成長が期待される情報産業やエレクトロニクス分野など、サステナブル社会への貢献を目指し、環境対応製品の開発も積極的に進めています。

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マテリアルサイエンス研究所


マテリアルサイエンス研究所では、自然と調和する物質科学研究を通じ、価値を創造し、未来のよき社会(サステナブル社会)に貢献するべく、商品価値の根幹となるキーマテリアルの設計や作用原理の究明、高効率な反応技術の開発を進めていきます。私たちのコア技術は、界面科学と高分子科学、触媒化学です。このコア技術をベースに素材が生み出す機能と作用原理の本質、および素材を合成するための反応過程の本質を深く理解することが、研究開発の起点となっています。素材開発分野での基盤技術開発の役割を担いながら、オレオケミカルの他、界面活性剤、香粧品原料、アグロケミカル、合成香料などのケミカル製品については、その開発の直接的な役割も担っています。

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