古紙から再生紙を作る時に、印刷インキを取り除き“資源のリサイクル”に貢献する「花王の脱墨剤」
日本で生産される紙は古紙が60%以上原料として使われています。古紙は段ボールなどの板紙に、ほぼ100%、印刷用紙では約35%が原料として使われています。古紙から作られるパルプは再生パルプと呼ばれています。板紙に使われる再生パルプは段ボール古紙からゴミなどを取除いて作られるのに対し、印刷用紙に使われる再生パルプは新聞古紙や雑誌古紙などから印刷されたインキを取除く必要があり、これを「脱墨」と呼んでいます。
古紙から再生パルプを作るには、水の中で古紙をくだき、脱墨を行う場合はパルプからインキを分離して除去します。この時使われるのが脱墨剤です。フローテーション法と呼ばれる方法でインキを取り除きますが、この方法は、インキをあらかじめ細かな粒子状にして分散させ、気泡の表面にインキを吸着させてパルプとインキを分離することで、効率的に脱墨します。脱墨されたパルプは、洗浄や必要な場合には漂白して、再生パルプになります。このパルプを脱墨パルプと呼んでいます。脱墨パルプは木材パルプなどと一緒に、抄紙されることで新聞紙、コピー用紙、トイレットペーパーなど、さまざまな紙として再生されます(再生紙)。また、インキを吸着して排出された泡(リジェクト)は、次の処理のために破泡して液状に戻さなければなりません。すぐれた脱墨剤には、泡立ちがよいだけでなく、泡切れ性(破泡)のよさも大切なことです。
花王の界面活性剤の技術を活用した脱墨剤は、繊維からのインキはく離力が大きく、インキ粒子の凝集性やインキの泡への吸着性にすぐれると共に、リジェクトの泡切れ性にすぐれた特長を有する高級アルコール誘導体および脂肪酸からなる製品を開発し、古紙の再生利用に貢献しています。
古紙は貴重な資源であり、さらなる有効活用が求められています。花王は、脱墨に関する豊富な知見を得ており、脱墨パルプ歩留り向上などの新しい脱墨システムや新しい製品の開発と顧客価値の向上に向けたトータル的な技術サポートを行っています。
花王はこれからも、すぐれた特長を有した古紙再生用薬剤の製品開発を目指してまいります。