鋳物の製造で使用する湯道菅に古紙を利用し、使用後の廃棄物量を削減できる“資源のリサイクルと廃棄物の削減”に貢献する「花王の湯道管」
鋳物は砂かなる鋳型に加熱して溶かした金属を湯道管を経由して型に流し込み、冷えてかたまった後、取り出して作った製品のことです。鋳物の型を作る主要な材料は砂ですが、砂を固めた後に湯(溶融金属)を鋳型に注入するために陶製などの湯道管が用いられます。
鉄などのスクラップを電気炉などで溶解して、機械部品やエンジン部品などに形を変え、さまざまな用途に使用される製品が鋳物です。砂型でつくった製品形状空間(鋳型)に、高温に溶けた溶融金属(湯といい、鉄系では約1400℃)を流し込み、製品を形づくります。その溶けた金属を流し込む「道」に使用されるのが『湯道管』です。『湯道管』には、大変厳しい機能が要求されます。短時間に大量の「湯」が流れるため、高温に耐えることと衝撃に耐える強度が必要です。また不純物を巻き込ませない形状と材質が要求されます。従来は陶製のもの(陶管)が一般的に使用されてきましたが、陶管は強度を高めるために肉厚で重いので、鋳物製造後に発生する廃棄物量を増加させ、また砂処理設備への負荷が大きくなっていました。
花王は、パルプモールド成形技術と高温材料技術を融合して「紙製」の湯道管を開発しました。新聞古紙を基材に耐火性の材料を付加したことで、陶管にくらべ重量を1/10にまで減量することができました。また、高温の「湯」に耐え、その後は炭化物化するため、従来の陶管に比べ廃棄物量が1/16まで大幅に、減少するため廃棄物の削減に貢献しています。
鋳物製造工程において、花王はこれまで、鋳物砂のバインダーにトウモロコシの芯から取れる植物由来の原料を使用したフラン樹脂をはじめとして、耐熱塗料、球状化人工砂などを開発・提案してきました。それに新聞古紙を基材とした湯道管を加えることで、鋳型づくりのすべてを花王製品でまかなえる体制を整えました。環境改善と生産性の向上をテーマに、新しい技術とマーケティングでグローバルに貢献してまいります。