CO₂を“価値”に変える花王の技術
― ナノ炭カル改質技術によるコンクリート革新 ―
―CO₂削減と性能向上を両立―
コンクリート用強度向上剤『ルナパワー』
セメント産業が抱えるCO₂排出の課題を解決するために、花王は独自の界面活性剤技術を応用し、回収されたCO₂から生まれた炭酸カルシウムを改質することで、新しいコンクリート用強度向上剤「ルナパワー」を開発しました。
これまで利用が難しかったCO₂由来の炭酸カルシウムを、花王の化学技術によってセメントと高い親和性を持つ素材へと進化させ、コンクリートの早期強度向上を実現しました。
その結果、同等の強度を保ちながらセメント使用量の削減が可能となり、建設・土木業界全体でのCO₂排出量削減に貢献します。
またルナパワーに含まれる炭酸カルシウムのうち、約44%が回収されたCO2でできています。

さらに、「ルナパワー」は材料そのものの性能向上にとどまらず、工期短縮・省エネルギー化・資源循環の促進など、持続可能な社会基盤の実現にも寄与する技術です。
“CO₂を減らすだけでなく、活かす”――それが花王のルナパワー
セメント産業が抱えるCO₂課題 ― 持続可能な建設への転換点
セメントはコンクリートの強度を支える不可欠な素材である一方、その製造過程で多くのCO₂が発生してしまうことが世界的な課題となっています。
世界のCO₂排出量のうち、約7〜8%がセメント製造由来ともされており、建設産業における脱炭素化の最大の壁となっています。
そのため、コンクリート業界では「CO₂を出さない」だけでなく、「CO₂を減らし・再利用し・循環させる」新たな技術革新が強く求められています。
花王はこの課題に対し、回収CO₂の有効利用とセメント使用量の削減という二方向からのアプローチで、建設業界のサステナブル化に挑戦しています。

「CO₂削減」 × 「コンクリート強度向上」 の両立
花王の界面制御技術をセメント強度向上剤として使用することで、コンクリート生産における「高耐久化」「CO2削減」「生産性向上」を実現します。
コンクリートの高強度化に貢献
強度向上効果があることから、従来と同様のセメント量でおさらなる強度向上を可能にしています。
短期強度への貢献はもちろんのこと、28日強度も向上することが確認できています。
二次製品コンクリートにおける蒸気養生から蒸気養生レスに変えることで、長期材令の高強UPにも貢献します。
<ルナパワー使用による短期/長期強度の両立>

<試験条件>
下記配合でコンクリート試験を実施

C: 普通ポルトランドセメント
S1: 山砂
S2: 川砂
G1: 砕石 2015
G2: 砕石 1505
W:水道水
セメント量の削減によりCO2発生量を従来より47%低減可能
セメント量を減らしても強度確保が可能であることから、セメント使用量の削減を実現します。
製造時にCO2を発生してしまうセメントの使用量低減がコンクリート業界に求められており、代替粉体である高炉スラグ微粉末(BFS)に50%置換した場合でもセメント100%同等の強度発現が可能になりました。これにより約47%のCO2削減量が可能です。
<セメントを削減した際のルナパワーの効果>

<試験条件>
下記配合でコンクリート試験を実施

・気中養生を行い、1日強度と28日強度を評価
W: 水道水
OPC: 普通ポルトランドセメント
BFS: 高炉スラグ微粉末(4000ブレーン)
S1: 山砂
S2: 川砂
G1: 5号砕石
G2: 6号砕石
養生時間を5時間短縮
コンクリート試験にて短期材令による強度向上により圧縮強度10N/mmを最大6時間短縮を実現しました。
これにより冬季の養生においても蒸気養生コストの削減が可能となります。条件によっては完全蒸気レスでの操業ができるため、設備維持費や管理費などの削減可能です。
<ルナパワーによるコンクリート養生時間の短縮効果>

<試験条件>
下記配合でコンクリート試験を実施

・試験温度、材料温度及び養生温度:5℃
・気中養生を行い、16時間、20時間、24時間強度を評価
W: 水道水
HPC: 早強ポルトランドセメント
BFS: 高炉スラグ微粉末(4000ブレーン)
S1: 山砂
S2: 砕砂
G1: 5号砕石
G2: 6号砕石
ルナパワーに搭載されたCO₂削減課題を解決する花王の技術力
― 水和活性技術 ~『セメント量』と『強度発現性』の両立 ~ ―
コンクリートの強度を高めるためには、セメントが欠かせません。
しかし、セメントを多く使用するほど、コンクリート製造時により多くのCO₂が発生することになってしまいます。
そのためCO₂排出量を削減しようとセメント使用量を減らすと、今度は強度発現性が低下してしまいます。
この「環境」と「性能」のジレンマは、長年コンクリート業界を悩ませてきました。
花王はこの課題を長年積み重ねてきた花王技術の力で解決しました。

独自の界面活性剤技術とナノ材料制御技術を応用し、回収されたCO₂から得られるナノ炭酸カルシウム(ナノ炭カル)を水和反応を促進する機能粒子として改質しました。
これにより、セメント量を減らしても強度を発現できる「水和活性技術」を確立しました。

この技術は、セメント粒子とナノ炭カル表面の反応性を高め、水和反応を効率的に進行させることで、早期から高い圧縮強度を発現します。
つまり、CO₂を削減しながらコンクリートの性能を維持・向上させることが可能になったのです。
セメント量を減らしつつ、しっかり強度が発現+CO2削減を実現
ナノ粒子制御技術技術と分散技術の深化により回収CO2を使用した強度向上を実現!
花王では、かねてよりコンクリート混和剤およびセメント添加剤の研究開発に取り組み、コンクリートの強度向上に関する技術と知見を蓄積してきました。
近年はナノ粒子の開発も進め、超微粒子が強度促進効果を有することを見出しています。一方で、超微粒子の製造・製剤化には高度な粒子制御技術が求められますが、花王が培ってきた界面化学の技術により、これらの課題を解決しました。
さらに、CO2のアップサイクルにも取り組み、本原料に二酸化炭素を活用することで、CO2削減とコンクリートの強度向上を両立しています。

セメント・コンクリート用途だけではなく、幅広い場面での応用についても応用できる可能性があります。


