「廃PETの有効活用」と「舗装の長寿命化・施工性向上」を実現
背景・課題
北海道などの積雪寒冷地では、舗装内部に入った水が凍結膨張することによって発生する舗装の損傷(ポットホール)や、舗装表面に残る水の凍結による走行安全性の確保が課題となってきました。積雪寒冷地舗装の長寿命化と車両の走行安全性の両立を目的に、これまで機能性SMA舗装が適用されてきました。
機能性SMA舗装は、舗装表面を粗くし排水機能や滑り抵抗機能を高め走行安全性を向上させ、また、舗装内部では多量のアスファルトを充填し密実にすることで、水の浸入を抑制し耐久性を向上した舗装です。
これまでの機能性SMA舗装は、セルロース繊維にアスファルトを含浸させることで舗装内部を充填していましたが、セルロース繊維が含浸可能なアスファルト量に限界があり、完全に密実な舗装体を構築することは困難でした。
廃PETの有効活用と施工性向上を実現するニュートラック 6000SMA
花王は、ニュートラック5000で導入した廃PET活用技術をニュートラック 6000SMAにもそのまま活かし、寒冷地舗装でのポジティブリサイクルを実現する技術を確立しました。
ニュートラック 6000SMAは従来のセルロース繊維を代替することで施工性向上・長寿命化を実現することに加えて、廃PETを有効活用できる花王独自のアスファルト改質剤です。
ニュートラック6000SMAは油となじみやすいアスファルトと、水になじみやすい骨材(石)という、通常相性の悪い2つの素材を強固に接着するという特性を持っています。このため、骨材へのアスファルトの被膜量を厚くすることができ、多量のアスファルトを配合することが可能になりました。
SOLUTION
輸送段階の品質保持と施工時の作業性向上を両立
ニュートラック 6000SMAは、良好な状態を維持したアスファルト材料の運搬と、快適な施工作業の実現により、良質な舗装に貢献します。
<外力変化による各種アスファルト材料の粘度比較>
舗装表面~内部まで良好な仕上がり
施工性の改善により舗装表面・内部状態の品質向上が実現可能です。
表面
舗装表面の粗さが10%以上向上し、安全性が向上
内部
密実な舗装体を実現し、長寿命化に貢献
水への抵抗力高め、長寿命化を実現
骨材とアスファルトの被膜を保持することで、アスファルトの剥離を抑制し耐久性を向上します。
<アスファルト舗装の水による耐久性比較>
花王独自試験
(水浸条件で繰り返し走行荷重を加えた耐久性評価加速試験)
<試験後の供試体(車輪走行箇所拡大)>
高い耐水性
ガラスプレート(骨材と同成分)にアスファルトを塗布し温水へ浸漬した場合、ニュートラック添加時は、塗布した状態を維持しており、水への抵抗力が高まったことが確認できます。
耐水性実験