花王は、油で汚染された土壌専用の洗浄剤を開発し、土を移動させることなくその場で洗浄する工法を構築しました。
この方法は従来よりも簡単かつ低コストで油汚染を取り除くことができ、汚染が理由で土地が放置されるブラウンフィールド問題に向けて有用であると考えます。
【ブラウンフィールド】
土壌汚染の存在あるいはその懸念から、土地が有する価値よりも著しく低い用途あるいは未利用となった土地
早く、簡単に、環境に配慮した土地の再生を実現
私たちを取り巻く生活環境は大きな変化を遂げております。石化燃料やガソリンを中心としたエネルギーは自然エネルギーへ、高機能な石化原料由来の製品は、環境配慮原料由来の製品へと移行しています。そのような変化に伴い、様々な設備の統廃合が進んでおり、ブラウンフィールドは今後、ますます増加すると言われています。
跡地が汚染されている場合、土地を再利用するためには土地の浄化が必要になります。汚染原因としては、重金属やVOCなど様々な物質が存在しますが、多くの製造業が扱う油で汚染されている土地も多く存在します。確実に土地を再生するためには、汚染土壌を場外搬出、跡地を新しい土で埋め戻す方法が採用されますが、環境負荷も大きく、ヒトと環境に優しい「土地の再生」が求められています。
花王は、「衣類の洗濯」で培った界面活性剤の知見とケミカル事業で培った「土壌改質」の技術を活用して、新たな油汚土壌用洗浄剤を開発しました。
従来工法での課題であったコスト/環境負荷低減を同時に実現できる花王独自の油汚染土壌用洗浄剤です。
SOLUTION
確かな洗浄力
油汚れのない”キレイ”な土壌の再生を実現
【性能評価方法】
環境省が制定した油汚染対策ガイドラインを参考に、油臭評価は土壌50gを試験管に入れて30分放置した後ににおいを嗅いで0~5(無臭~強烈なにおい)の5段階で評価。油膜評価は蒸留水を入れたシャーレに薬さじ1杯分(約5g)の土壌を静かに入れて、直後の液面を目視で観察TPHはGC-FID法を用いて濃度を測定。なお、TPHは石油由来の炭化水素化合物の総称を表し、TPH濃度を測定することでどの程度土壌に油が含有されているかを確認。
原位置で土壌を洗浄する環境にやさしい土地再生
土壌を入れ替えることなくその場で洗浄
環境負荷を抑えた土壌浄化を実現
掘削除去
高い環境負荷
原位置での土壌洗浄
花王の油汚染土壌用洗浄剤
油で汚染された土壌をその場でキレイに
【試験条件】 *CO2排出量はLCAに基づいて試算
模擬的に作成した5m3の油汚染土(砂質土、軽油汚染濃度TPH5,000mg/kg)をコンテナに入れて土壌に見立て、水3m3と洗浄剤7.5kgを入れて重機で5分間攪拌し、30分静置した後に浮いてきた油と洗浄水を回収。 この工程を2回繰り返し、再度水ですすぎを行った後に油汚染が除去できているか評価。掘削除去法は熊本県熊本市で発生した油汚染土を大阪府大阪市大正区に運搬して廃棄する事例を想定。土壌洗浄は同汚染場所で洗浄と排水処理を行った場合を想定。
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