リバウンドによるコンクリートロスを減らすことで
環境配慮・工期短縮に貢献
花王は山岳トンネル工事における吹付コンクリートの使用量削減や現場作業効率改善に貢献できる「リバウンド低減技術」を開発しました
<コンクリート吹付作業の様子>
山岳トンネル工事におけるコンクリート吹付工程では、一部のコンクリートが付着しない(リバウンド)課題があります。
現状は約3割ほどが付着せず落下していると考えられ、リバウンド量が多いほど材料コスト増、作業時間増につながります。
また付着せず落下したコンクリートは廃棄されますので、環境負荷が増えることにもつながります。
これに対して急結剤が提案されていますが、従来の急結剤では性能が不十分な場合があります。
<吹付時のリバウンドイメージ図>
花王は太平洋マテリアル様との協業により、環境配慮型吹付コンクリート用急結剤を開発しました。
従来の粉体急結剤に比べリバウンド量を30%削減いたします。
<ビスコショットの外観写真>
<リバウンドするコンクリート量の比較>
コスト削減
■余分にコンクリートを練る必要がなくなります
■コンクリートの廃棄コストを削減できます
時間短縮
■吹付効率が改善することにより作業時間を短縮できます
■落下したコンクリートの除去作業の負担を低減できます
環境にやさしい
■コンクリート使用量減により、CO2削減に貢献できます
■産業廃棄物の量を削減できます
※リンク先は販売元「太平洋マテリアル(株)」のサイトページ
リバウンド量を削減するためには、吹付けたコンクリートをしっかりと壁面に付着させる必要があります。コンクリートの粘性を上げれば付着しやすくなりますが、汎用ポリマー添加・セメント量増といった方法ではコンクリート全体の粘性が上がり、圧送性の悪化や、配管・ノズルの閉塞といった課題につながります。
そのため、吐出中は低粘性、付着後は高粘性へ瞬時に変化する流動性の制御技術が求められます。
<従来品とビスコショットの粘度比較>
こうした課題への対策に関して、花王は長年培ってきたスキンケア製品から着想を得ました。
チューブから吐出しやすく(=低粘性)、一方でしっかりと肌に付着する(=高粘性)という相反する特性を両立する技術が応用できると考え、急結剤に最適なリバウンド低減技術を開発しました。
山岳トンネル工事における吹付コンクリート用だけでなく
幅広い場面で応用できる可能性があります。